セルピル・ウラル氏は、トルコの児童文学作家である。IBBYの会員であり、国際的にも活動を続けている。
このたび、セルピル氏にトルコ児童文学界の現状についてインタビューをさせていただくことになった。ご紹介いただいたのは、元駐トルコ大使夫人の阿部元子さん。2003年から2007年にかけて、アンカラにご滞在されていた。じつは、筆者のトルコの児童書出版社のコラムをお読みいただいて、ご連絡をくださった。
それはぜひにと、セルピル氏ご本人に連絡をさせていただくと、快くご承諾をいただき、この連載が実現した。2013年のイスタンブルのブックフェアーでは、双方の日程の関係で残念ながらすれちがってしまった。そこで、お電話でお話をさせていただいたのが、はきはきした心地よいお声で、「日本のみなさんにお話しできるのを楽しみにしています」とのこと。お話ししたのは2014年1月のことで、トルコの首都アンカラにお住いのセルピル氏は「アンカラは、寒いですよ」と、電話口で元気に笑っておられた。
連載の最初の2回はセルピル氏ご本人について、3回目以降はトルコ児童文学界のあり方についてうかがい、トルコ児童文学の一面を探っていく。
■第1回 児童文学作家セルピル・ウラル(1)
■第2回 児童文学作家セルピル・ウラル(2)
■第3回 1940~60年代生まれのトルコ作家たちと児童文学
■第4回 翻訳児童文学とトルコ児童文学の関係
■第5回 今日のトルコ児童文学界
●著者紹介
鈴木郁子(すずき・いくこ)
「トルコ文学を学ぼう」と決め、出版関係の仕事を辞め、再び学生になるためにトルコ入りしたのは、2006年4月のこと。日本の大学で学んだのは日本の上代文学で、トルコ文学のことは何も知らなかった。
語学学校を経て、トルコはイスタンブルのマルマラ国立大学大学院に合格したのが2008年9月。トルコ学研究所の近・現代トルコ文学室に籍を置き、19世紀末から現代までのトルコ文学を学んできた。トルコ語で書いた修士論文のテーマは『アフメット・ハーシムの詩に見える俳句的美意識の影響』。帰国後も、近・現代トルコ文学研究、翻訳、通訳、講師など、トルコ語に携わる。児童書を含め、トルコ文学を少しでも日本に紹介しようと動いている。