日本の国語の授業の中では、文字や文法を学びながら、本や論文の読み方を段階的に学んでいきます。
では、イタリアの人々は、いわゆる「国語」の授業で、どんなことを学んでいるんでしょう?
ということで、イタリア人の友人のMartaさんに、国語の授業がどんなものか聞いてみました。
まず、どんなことを学ぶの?
Writing
最初はもちろん、基本となるアルファベットを学びます。
わたしたちがひらがな、カタカナ、漢字を学ぶのと同じですね。
文章書き取りの課題などももちろん出るそうです。
このあたりも日本の授業と似ていますね。
活字体だけでなく筆記体も書けるように、授業の中でカリグラフィの練習をするそうです。
Martaさんに手書きの文字を送っていただきました。
筆記体は書き手の癖がよく出るもので、人によっては大変読みにくい文字を書くそう。
そういう字の汚い人を指して、
scrivi come un gallina(直訳: 鶏みたいな字を書く)
scrivi come un dottore (直訳: 医師のような字を書く)
と表現することもあるそうです。
日本語で言うところの、「みみずののたくったような字」に相当するでしょうか。
表現が違っておもしろいですね。
Reading
まず、とても簡単な単語からなる文章と絵を学んでいきます。
mamma(ママ), sole(太陽), bicicretta(自転車)……など、身の回りのシンプルな単語からなる文章を読んでいくそうです。
夏休みには読書感想文の課題も出るそうで、Martaさん曰く、休暇が終わる間際でいつも焦っていたとのことでした笑
ちなみに彼女は現在フィンランドに住んでいるのですが、フィンランドでは休暇中の宿題は出ないそうで、息子さんが自由で羨ましい、とのことでした。いいなぁ……。
Grammer
格変化や過去形など、一般的な文法も体系的に学んでいきます。
また、アクセントや発音の違いも学んでいきます。
Liとgli(前者はリの音で、後者はイに濁点がついたような音)の聞き取りや発音の違いなど、わたしも学び始めたころは苦労したのですが、イタリアの人も最初は訓練が必要のようです。
ミドルスクール以降は何を学ぶの?
より詳しい文法を学び、エッセイを書くところに授業の力点が置かれるようになるそうです。
時事ニュース、科学、地理、歴史など、さまざまなジャンルについて調べてレポートにまとめたり、自分の意見を書く訓練をしていきます。
最終学年には論文課題があります。
いわゆる卒論のように時間をかけて書くものではなく、文学や歴史などの決まったテーマから選択して、その場で3時間ほどかけてA3用紙2ページ分書く、という形態の試験のようです。
本の持ち込みは禁止だそうで、少し大変そうだなと思いました。
ラテン語について
わたしたちは古文や漢文を学びますが、イタリアの人も同様に昔の言葉、つまりラテン語も学ぶのでしょうか?
実は60年ほど前に教育カリキュラムが変わり、ラテン語の授業が必須ではなくなったそうです。
現在、小学校の高学年以降の選択授業となっています。
Martaさんは受講しなかったそうですが、妹さんが学ばれたとか。
ラテン語はイタリア語の元になっている言語なので、比較的文法や単語が似ているとはいえ、ずっと複雑で難しいとのことでした。
まとめ
イタリアの国語の授業について見てみました。
日本の授業と似ている部分、異なる部分がそれぞれあって、とても興味深かったです。
●著者紹介
1992年東京生まれ。
東京大学教養学部卒業後、大学図書館で2年ほど勤務。その後ソフトウェアエンジニアに転向し、独立。切絵童話作家/ARアーティスト/フリーランスエンジニアとして精力的に活動中。
切り絵・AR技術はすべて独学で身に着ける。
一枚絵としてのモノクロ/カラー切り絵だけでなく、絵本やアニメーションなどの幅広い手法で物語を表現している。
さらに、スマートフォンをかざすとARが立ち現れる切り絵を制作し、空想世界のリアルへの拡張を試みている。
©︎kageori kiyoshige